「録音はできたけど、ギターの音がなんだかバラバラ…」
宅録でギターを録ったあと、必ずぶつかるのがミックスの壁です。
実は、ギターミックスは処理の順番を知るだけで一気に整います。
この記事では、ギター歴13年・宅録歴5年のryoが、EQ・コンプ・空間系をかける順番と設定のコツを解説します。
バンド全体(ドラム・ベース込み)のミックス手順は、こちらの記事で解説しています。
-
-
ミックス入門|ギター2本+ベース+ドラムをまとめる
ギター2本+ベース+ドラム+ボーカルの基本的なミックスを初心者向けに解説。EQ・コンプ・空間系の基本から、バンドサウンドをまとめる順番まで、Logic Proで実践しながら丁寧に説明します。
続きを見る
ギターミックスの基本|エフェクトをかける順番
まず結論です。
ギタートラックの処理は、この順番が基本形です。
ギターミックスの基本チェーン
なぜこの順番なのか
理由はシンプルです。
不要な音を先に削ってから、音量を整え、最後に飾る。
この流れが一番ムダがありません。
たとえば、ローの濁りを残したままコンプをかけるとどうなるか。
コンプは濁った低域に反応してしまいます。
結果、聴かせたい中域がうまく持ち上がりません。
だからカット系EQはコンプの前なんです。
この順番は絶対のルールではありません。ただ、初心者のうちは型どおりに進めるのが上達の近道です。
ステップ①:ミックス前の準備|ゲインステージング
プラグインを挿す前に、やることがあります。
それがゲインステージング(音量の下ごしらえ)です。
各トラックの音量を整える
目安はこれだけです。
ゲインステージングの目安
音が大きすぎると、あとのプラグインが正しく動きません。
逆に小さすぎると、ノイズが目立ちます。
録り音の段階で8割決まる
厳しい話をすると、ミックスは魔法ではありません。
録り音が悪いと、EQでは直しきれないんです。
アンプシミュレーターの音作りに不安がある人は、先にこちらをチェックしてください。
-
-
アンプシミュレーターの基本|接続順とゲインの考え方
「アンプシミュレーターって、結局どこに何を繋げばいいの?」 ギターをDTMで録り始めると、最初にぶつかるのがこの疑問です。 つまみがたくさんあって、エフェクトの順番もよくわからない。 ゲインを上げたら ...
続きを見る
-
-
アンプシミュレーターで音が劣化する原因と正しい設定【接続順・ゲイン・インターフェース】
「アンプシミュレーターを入れてみたけど、なんだか音が細い」 「ノイズだらけで使い物にならない」 ギターからDTMに入った人が、最初につまずくのがここです。 原因のほとんどは、機材の性能ではありません。 ...
続きを見る
ステップ②:ギターEQのコツ|まずカットから
EQの鉄則はひとつ。
ブーストより先にカットです。
ローカットは全ギタートラックの基本
ギターの美味しい帯域は、意外と高い位置にあります。
80〜100Hzより下は、ほぼベースとキックの領域です。
ここをバッサリ切りましょう。
ローカットの目安
ギターEQの帯域早見表

迷ったらこの表を見てください。
| 帯域 | 音の性格 | 処理の目安 |
|---|---|---|
| 〜100Hz | ベース・キックの領域 | ハイパスでカット |
| 200〜400Hz | モコモコ・こもり | 濁ったら2〜4dBカット |
| 800Hz〜1kHz | 箱鳴り・鼻づまり感 | 気になれば軽くカット |
| 2〜4kHz | アタック・存在感 | 抜けが欲しい時に少しブースト |
| 4〜8kHz | ジャリジャリ・痛さ | 耳に痛ければカット |
| 10kHz〜 | 空気感 | 基本は触らなくてOK |
数値はあくまで出発点です。ギター・アンプ・曲によって最適解は変わるので、必ず耳で確認しながら調整してください。
ボーカルと帯域を取り合わない
ギターがうるさく感じる原因の多くは、ボーカルとの衝突です。
ボーカルの美味しい帯域は1〜4kHzあたり。
歌モノなら、ギター側のこの帯域を1〜2dBだけ譲ってあげましょう。
それだけで歌がグッと前に出ます。
ステップ③:ギターコンプの使い方
次はコンプレッサーです。
役割は音量のムラをならして、聴きやすくすること。
そもそも歪んだギターにコンプは必要?

実は、深く歪んだギターはすでに音が圧縮されています。
歪み自体がコンプのような働きをするからです。
なので判断基準はこうなります。
| ギターの種類 | コンプの必要度 | 設定の目安 |
|---|---|---|
| 深い歪み(バッキング) | 低い(不要なことも多い) | かけるならごく浅く |
| クランチ・アルペジオ | 中 | レシオ2:1〜3:1/リダクション2〜3dB |
| クリーン・カッティング | 高い | レシオ3:1〜4:1/リダクション3〜5dB |
| リードギター | 中〜高 | レシオ3:1前後で音量を安定させる |
かけすぎのサインを知っておく
コンプは、かけすぎると音が死にます。
こうなったら潰しすぎです。
コンプかけすぎのサイン
・音が奥に引っ込んで小さく聴こえる
・「サーッ」というノイズが持ち上がってくる
ステップ④:空間系(リバーブ・ディレイ)の順番と使い方
EQとコンプで整ったら、最後に空間系です。
インサートではなくセンドで使う
リバーブとディレイは、トラックに直接挿しません。
センド(バス)で使うのが基本です。
理由は3つあります。
センドで使うメリット
②複数トラックで同じリバーブを共有でき、空間に一体感が出る
③CPU負荷を大幅に節約できる
ディレイとリバーブの使い分け
ざっくり言うと、こうです。
ディレイ=奥行きと広がり。リバーブ=空気とまとまり。
音数が多い曲でリバーブを深くすると、全体が濁ります。
そういう時は、短いディレイ(スラップバック)で奥行きを出すのが有効です。
仕上げ:2本のギターを左右に広げる
バンドサウンドの定番テクがダブリングです。
同じフレーズを2回録音して、左右に振り分けます。
ダブリングの基本
ステレオ拡張テクの詳細は、別記事で深掘り予定です。
ギターミックスのよくある質問
Q. モニター環境は必要?
正確な判断には、モニターヘッドホンかモニタースピーカーが必要です。
リスニング用イヤホンだと、低域と高域が誇張されて判断を誤ります。
-
-
DTMモニターヘッドホンおすすめ|6,000円から始めた宅録ギタリストが選ぶ定番
「リスニング用のヘッドホンでミックスしたら、スマホで聴いたときに低音がスカスカだった……」 宅録を始めたギタリストなら、一度は経験する失敗です。 原因はシンプル。普通のヘッドホンは音楽を「楽しく聴かせ ...
続きを見る
-
-
DTMモニタースピーカーおすすめ|ギタリスト宅録に最適な選び方
「宅録のミックス、ヘッドホンだとイマイチ決まらない…」 そう感じはじめたら、モニタースピーカーの導入どきです。 ギタリストの宅録は、ヘッドホンだけだと判断を誤りがち。 とくに「自分のギターだけ大きく聴 ...
続きを見る
Q. プリセットを使うのはアリ?
全然アリです。
ただし、プリセットは「出発点」。
ローカット位置とリダクション量だけは、自分の耳で調整しましょう。
Q. ミックスの次は何をすればいい?
2MIX全体の音圧と質感を整えるマスタリングです。
まとめ:順番さえ守ればギターミックスは怖くない
最後に、この記事の要点をまとめます。
この記事のまとめ
・EQはブーストより先にカット。ローカットは全トラック必須
・歪みギターにコンプは控えめでOK。リダクション2〜3dBから
・リバーブ・ディレイはセンドで使う
・ダブリングは必ず2回弾く
ミックスは一日では上達しません。
でも、順番の型があるだけで、迷う時間は激減します。
まずは1曲、この型どおりに仕上げてみてください。
バンド全体のミックス手順は、こちらの記事でどうぞ。
-
-
ミックス入門|ギター2本+ベース+ドラムをまとめる
ギター2本+ベース+ドラム+ボーカルの基本的なミックスを初心者向けに解説。EQ・コンプ・空間系の基本から、バンドサウンドをまとめる順番まで、Logic Proで実践しながら丁寧に説明します。
続きを見る