ドラムのミックスがうまくいかない。
そう感じる宅録バンドマンは多いはずです。
原因の多くはプラグインの役割を分けて考えていないことにあります。
この記事ではドラムミックスを3つの層に分けて解説します。
ギター歴13年、DTM歴5年のryoが実際に使っているプラグインをもとにまとめました。
この記事でわかること
ドラムミックスは「音源・処理・質感」の3層で考える
まず全体像です。
ドラム系プラグインは役割で3つに分かれます。
| 層 | 役割 | 代表例 |
|---|---|---|
| ①音源 | ドラムの音そのものを鳴らす | MODO DRUM/BFD3 |
| ②処理 | EQ・コンプで整える | T-RackS 5/DAW純正 |
| ③質感 | 空気感やまとまりを足す | UAD Sound City Studios/Eddie Kramer Drum Channel |
この3つは順番に効いてきます。
①の時点で音が細ければ、②③で足しても限界があります。
迷ったら上の層から見直す。これだけで解決することが多いです。
①音源系プラグイン|まず音の骨格を決める
打ち込みでドラムを作るなら音源が必要です。
ここでの選択が仕上がりの大部分を決めます。
MODO DRUM|物理モデリングで軽快に扱える
MODO DRUMはIK Multimediaの物理モデリング音源です。
サンプルを再生する方式ではありません。
ドラムの構造を計算して音を生成します。
そのためシェルの材質やヘッドの張り具合を後から変えられます。
叩く位置も調整できます。
スネアの芯を強くしたい、といった修正がミックス中にできるのは大きいです。
容量も軽いです。
読み込みが速いのでデモ作りに向いています。
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BFD3|マルチマイクの情報量で生っぽさを出す
BFD3はサンプルベースの音源です。
実際のスタジオでマルチマイク収録されています。
キック、スネア、オーバーヘッド、ルームが個別に用意されています。
このマイクごとのバランスを自分で組めるのが強みです。
ルームマイクを上げれば一気に生っぽくなります。
逆に絞ればタイトになります。
容量は大きいです。
ただし情報量はその分あります。
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MODO DRUM と BFD3、どちらを選ぶか
実際に同じフレーズで比べた動画があります。
グランジ系のフレーズで比較しました。
傾向はこうです。
| MODO DRUM | BFD3 | |
|---|---|---|
| 方式 | 物理モデリング | マルチマイクサンプル |
| 音の傾向 | クリアで整っている | 生々しく情報量が多い |
| 容量 | 軽い | 重い |
| 後からの音色変更 | 得意 | マイクバランスで調整 |
| 向いている人 | 速く形にしたい | 生ドラムに寄せたい |
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②処理系プラグイン|EQとコンプで整える
音源が決まったら処理に入ります。
ここはDAW純正でもかなり戦えます。
まず純正で組んでみてください。
EQ|パートごとに触る帯域は決まっている
ドラムのEQは闇雲に触ると濁ります。
パートごとの目安を持っておくと早いです。
| パート | 帯域 | 効果 |
|---|---|---|
| キック | 50〜80Hz | 体に来る低音 |
| キック | 200〜400Hz | 削ると輪郭が出る |
| キック | 2〜4kHz | アタック(ビーターの音) |
| スネア | 150〜250Hz | 胴鳴り・太さ |
| スネア | 5〜8kHz | スナッピーの抜け |
| ハイハット | 300Hz以下 | ローカット推奨 |
| オーバーヘッド | 200Hz以下 | ローカットで濁り解消 |
特に効くのは200〜400Hzの処理です。
ここが溜まると全体がもこもこします。
少し削るだけで見通しが良くなります。
コンプ|かけすぎると躍動感が消える
ドラムのコンプは目的を分けます。
ひとつは粒を揃える目的です。
浅めのレシオで、アタックは遅めにします。
アタックを速くしすぎると打点が消えます。
もうひとつは質感を足す目的です。
こちらは深めにかけて音を潰します。
ただしメイントラックにやると躍動感が死にます。
そこで使うのがパラレルコンプです。
パラレルコンプ|潰した音を混ぜる
手順はシンプルです。
パラレルコンプの手順
元の打点は残ります。
そこに密度だけが乗ります。
ドラムが前に出てこないときに効きます。
トランジェント系|アタックを直接いじる
EQやコンプより直感的なのがトランジェント系です。
アタックとサステインを別々に増減できます。
スネアの打点を出したいとき。
ルームの響きを減らしたいとき。
こういう場面で一発で解決します。
T-RackS 5|1本挙げるならThe Farm Stone Room
処理系を個別に買うと高くつきます。
まとめて揃えるならIKのT-RackS 5が現実的です。
モジュール数が多く、迷う人も多いです。
ドラム用に1つだけ挙げるならTR5 The Farm Stone Roomです。
実在のスタジオを再現したルーム系プラグインです。
ドラムバスに軽くブレンドするだけで、部屋の空気感が足せます。

STEREO ROOMとMONO CRUSHを混ぜて使います。
MIXは深くかけすぎないのがコツです。
原音の輪郭を残したまま、奥行きだけ足すイメージです。
Total Studio 5 MAXならT-RackS 5 MAXとMODO DRUMが同時に揃います。
音源と処理を一度に解決できます。
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T-RackS単体で揃えるなら、現行版はT-RackS 6 MAXです。
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T-RackS 5の各モジュールの使い分けは別記事で詳しく解説予定です。
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③質感系プラグイン|まとまりと空気感を足す
処理まで終わると、音は整います。
ただし整っているのにバラバラという状態になりがちです。
ここで質感系が効きます。
UAD Sound City Studios|リマイクでまとめる
Sound City Studiosはリマイクプラグインです。
リバーブではありません。
実在のスタジオで鳴らし直したような響きを足します。
ドラムバスに挿すと部屋鳴りが共通化されます。
キックとスネアとシンバルが同じ空間に立ちます。
ON/OFFで比較した動画がこちらです。
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Waves Eddie Kramer Drum Channel|1本で方向性が決まる
ドラム専用のチャンネルストリップです。
EQ、コンプ、ゲート、サチュレーションが一体になっています。
特徴はパート別にモードが用意されていることです。
キック、スネア、タム、オーバーヘッド、ルーム。
それぞれに最適化された設定が入っています。
つまみは少ないです。
細かく作り込むタイプではありません。
その代わり1本挿すだけで方向性が決まります。
特に効くのはオーバーヘッドとルーム
個人的に効果を感じたのはこの2つです。
オーバーヘッドは処理が難しいパートです。
シンバルが痛くなりやすいからです。
かといってローカットしすぎるとスカスカになります。
ルームも同じです。
上げると生っぽくなりますが、濁りやすい。
この2つのプリセットを鳴らしたのがこちらです。
どの層で使うか
このプラグインは②処理と③質感の中間です。
EQとコンプの役割も持っています。
同時にサチュレーションで質感も足します。
なので使い方は2通りあります。
| 使い方 | 挿す場所 | 効果 |
|---|---|---|
| 処理として | 各パートのトラック | EQ・コンプの代わりになる |
| 質感として | ドラムバス | 全体にまとまりを足す |
Wavesは自社直販が中心です。購入先とセール時期が他社と異なる点に注意してください。
リバーブ|足しすぎると濁る
ドラムのリバーブは短めが基本です。
ルーム系やプレート系が扱いやすいです。
長いホール系を全体にかけると濁ります。
スネアだけに使う、という運用が安全です。
【重要】ギターとドラムがぶつかる帯域
ここが宅録バンドマン特有の悩みです。
ドラム単体では良い音なのに、ギターを重ねると消える。
原因は帯域の奪い合いです。
| 帯域 | 競合するもの | 対処 |
|---|---|---|
| 80〜120Hz | キック × ベース | どちらかを削る |
| 200〜400Hz | スネア胴鳴り × ギターの箱鳴り | ギター側を削る |
| 2〜4kHz | スネア打点 × ギターの歪み | ギター側を少し削る |
| 8kHz以上 | シンバル × ギターのジャリ感 | ギターをローパス |
基本方針はシンプルです。
ドラムを削らず、ギター側を削る。
ドラムは曲の土台だからです。
特にオルタナやシューゲイザーのようにギターが厚いジャンルでは重要です。
ギターを重ねるほど、ドラムの居場所が消えます。
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ミックス入門|ギター2本+ベース+ドラムをまとめる
ギター2本+ベース+ドラム+ボーカルの基本的なミックスを初心者向けに解説。EQ・コンプ・空間系の基本から、バンドサウンドをまとめる順番まで、Logic Proで実践しながら丁寧に説明します。
実際の処理順序
迷ったらこの順で組んでください。
ドラムミックスの手順
①に一番時間をかけてください。
ここが決まれば後は微調整です。
よくある失敗3つ
失敗1|EQで足しすぎる
低音が足りないから低音を足す。
これで解決することは少ないです。
むしろ邪魔な帯域を削る方が効きます。
失敗2|コンプのアタックが速すぎる
アタックを速くすると打点が潰れます。
ドラムの躍動感が消えます。
まず遅めから試してください。
失敗3|リバーブを全体にかける
全パートに同じリバーブをかけると濁ります。
キックには基本不要です。
スネア中心に考えてください。
予算別の揃え方
| 予算 | 構成 | コメント |
|---|---|---|
| 0円 | DAW純正のみ | Logic純正なら十分戦える |
| 〜3万円 | 音源を1つ追加 | MODO DRUM等。効果が一番大きい |
| 〜10万円 | 音源+処理バンドル | Total Studio 5 MAX等でまとめて |
| それ以上 | 質感系を追加 | Sound City Studios、Eddie Kramer Drum Channel等 |
優先順位は音源 → 処理 → 質感です。
この順番を崩さない方が失敗しません。
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まとめ
ドラムミックスは3層で考えると整理できます。
①音源で骨格を決めます。
②EQとコンプで整えます。
③質感系でまとめます。
そして宅録バンドマンの場合、ギター側を削る視点が欠かせません。
ドラムを直すよりギターを直す方が早いことは多いです。