「宅録のギターが、なんか曲から浮く」。
これ、僕がずっと抱えていた悩みでした。
音作り自体は悪くない。
でもドラムやベースと並べると違和感が出ます。
ギターだけ別の部屋で鳴っているみたいに浮く。
なのに「同じ空気の中で鳴ってる感」が出ないんですよね。
その「浮き」を一発で消してくれたものがあります。
UAD Sound City Studiosというプラグインです。
この記事を書いているのはギター歴13年・DTM歴8年の僕(ryo)です。
宅録で長期間使い込んで感じた正直な感想をまとめます。
ちなみに僕の好みも書いておきます。
90sのオルタナやグランジが好きなタイプです。
こんな方におすすめ
- 宅録のギターが曲から浮いて困っている
- 宅録ギターに「空気感・部屋鳴り」が欲しい
- UAD Sound City Studiosの購入を迷っている
UAD Sound City Studiosとは?
UAD Sound City Studiosというプラグインがあります。
Universal Audio(UA)が作りました。
伝説的な録音スタジオ「Sound City Studios」の音響を再現しています。
アメリカのカリフォルニア州ヴァンナイズにあるスタジオです。
Sound Cityはロック史に残る名スタジオです。
Nirvana『Nevermind』(1991年)が録音された場所です。
Fleetwood MacやTom Pettyも使いました。
このスタジオは、特にドラムの録り音で世界的に有名でした。
でも、このプラグインがすごいのはドラムだけではありません。
ギターやボーカル、ベースにも使えます。
アンサンブル全体まで、あの部屋に置いたような音にできます。
Sound Cityで録音した伝説のバンド・アーティスト
このスタジオがどれだけヤバいか、録音した顔ぶれを見るのが一番早いです。
- Nirvana『Nevermind』(1991)
- Fleetwood Mac(1975年セルフタイトル盤など。『Rumours』も一部をここで録音)
- Tom Petty and the Heartbreakers『Damn the Torpedoes』
- Neil Young『After the Gold Rush』
- Rage Against the Machine
- Red Hot Chili Peppers
- Metallica
- Tool
- Nine Inch Nails
- Weezer
- Johnny Cash
- Slayer
- Guns N' Roses
オルタナやグランジ、メタルまで。
ロックの名盤がここで生まれています。
そう思うと、それだけで楽しい。
リマイクプラグインとして使う
このプラグインは、ひとことで言うとリマイク(Re-Mic)プラグインです。
すでに録った(または作った)音に効きます。
Sound Cityの部屋とマイクで"録り直した"ような音に変えてくれます。
なので、使い方はシンプル。
TONEXなどで作ったギターの後ろに挿すだけです。
正直な感想:ギターの「浮き」が本当に消えた
使ってまず驚いたのが、冒頭の悩みがあっさり解決したことです。
TONEX MAXのギターに、Sound CityのRe-Micモードを薄くかける。
それだけで、ギターがドラムと「同じ部屋」で鳴り始めました。
僕がTONEX MAXを気に入っている理由も「空気感」です。
Sound Cityはそこをさらに一段引き上げてくれました。
【比較動画】プラグインOFF/ONで聴き比べ(ギター)
ギターでも比較動画を作りました。
同じフレーズで、プラグインOFF → ONを聴き比べています。
使用プリセットは「Attitude Cab V - Gobos」。キャビネット録音に近い空気感や奥行きが、どの程度加わるかを聴き比べています。
どこに挿すのが正解?
「リマイクって一番前に挿せばいいの?」と聞かれることがあります。
でも、一番前(音作りの前)に挿すのは間違いです。
Re-Micは「できあがった音を、Sound Cityの部屋で録り直す」処理です。
だから、音を作り込んだ後ろに置くのが基本になります。
挿す位置の基本
- ギター:TONEXなどで音を作った「後ろ」に挿す
- ドラム:ステレオのドラムバスにまとめて挿す
- ブレンド重視:バス(AUX)に挿して、原音の下に薄く混ぜる
UAの公式マニュアルにも2つの方法が載っています。
トラックに直接挿す方法と、複数トラックをまとめたバスに挿す方法です。
僕の体感では、バスに挿して薄く混ぜるのが一番扱いやすかったです。
「全部Sound Cityに置き換える」のではありません。
「原音の下にルームの空気を足す」感覚で使うと、宅録ではまとまりやすいです。
Dynamic Room Modelingが肝
このプラグインの中心技術が、Dynamic Room Modelingです。
スタジオの部屋とマイクを再現しています。
コンソールやアウトボードまでまとめて収録しました。
特に面白いのが、マイクをドラッグで動かせること。
ソースからマイクを近づけたり遠ざけたりして、リアルタイムで部屋の鳴り方を変えられます。
搭載マイク
AKG・Neumann・RCAなどのコンデンサー/リボンマイクを収録。1ソースにつき近接1本+ルーム2本を配置できます。
2つのモードを使い分ける
モードは大きく2つあります。
- Re-Micモード:録った音を、Sound Cityで録り直したような音に置き換える
- Reverbモード:Sound Cityの響きを"足し算"で加える
僕は、ギターにはRe-Micをバスで薄く使うことが多いです。
がっつりかけると個性が出すぎます。
Mixつまみで20〜40%くらいに抑えるのが、宅録では使いやすいと感じました。
ギターだけじゃない。全パートにかけてみた
このプラグイン、最初はギター用に買いました。
でも使っていくうちに、ボーカル・ベース・ドラムにも片っ端からかけるようになりました。
これが一番まとまるんですよね。
| パート | かけた印象 |
| ドラム | 変化が一番大きい。打ち込みでも生っぽい空気が出る |
| ボーカル | 距離感と艶が出て、トラックに馴染む |
| ベース | 低域の"居場所"が決まり、芯が前に出る |
| ギター | 浮きが消えて一体化(前述) |
特にドラムの変化がすごい
正直、一番びっくりしたのはドラムです。
僕はMODO DRUMやBFD3で打ち込むことが多いです。
打ち込みドラムは、どうしても"乾いて並んでる"感じになりがちなんですよね。
そこにSound CityをRe-Micで通すと、スタジオで生で録ったような空気感が一気に乗ります。
Sound CityはStudio Aのドラムの録り音で世界的に有名です。
ここが一番"らしさ"が出るのも納得でした。
デイヴ・グロールのドラムサウンドに近づける
ここがニルヴァーナ好きにはたまらないポイントです。
『Nevermind』のあの爆発的なドラムは、まさにこのStudio Aの部屋で録られたものです。
もちろん、叩き方やキットそのものが違うので「完全に同じ音」にはなりません。
でも、あの『Nevermind』の部屋鳴りが使えます。
打ち込みドラムにも乗せられるのです。
これだけで、グランジ/オルタナの宅録がぐっと"らしく"なります。
デイヴ・グロールはこのスタジオを愛していました。
閉鎖時にコンソールを買い取り、自身のStudio 606に移設したほどです。それくらい、この部屋の音は唯一無二でした。
【比較動画】刺した状態/刺してない状態(ドラム)
言葉だけだと伝わりにくいので、自分で比較動画を作りました。
同じドラム素材で、Sound Cityを刺していない状態 → 刺した状態を聴き比べられます。
使用プリセットは「Dead Kick Fixer」。埋もれていたキックが、適用後にどう前へ出てくるかを聴き比べています(Logic Pro)。
動画の聴きどころ
キックが埋もれた状態と、Dead Kick Fixer適用後の違いに注目。キット全体の「奥行き」と、"デイヴ・グロール的な部屋鳴り"がどれだけ乗るかも聴いてみてください。
オルタナ・グランジ宅録での使いどころ
僕は90sのオルタナやグランジが好きです。
ギターの"壁"や厚みを宅録で作りたいタイプになります。
Sound Cityは、この手の音作りとかなり相性が良かったです。
こういう音像って、楽器同士が溶けて一体になる感じが大事なんですよね。
そこに、この「同じ空気で鳴ってる感」がよく効きました。
そもそもSound Cityはオルタナ/グランジ系の名盤が録られたスタジオです。
Nirvanaをはじめ多くのバンドが使いました。
ジャンルとの相性が良いのも納得でした。
内蔵EQ・コンプ・チェンバーも便利
このプラグインには、Sound Cityのコンソールを再現した3バンドEQとコンプも入っています。
さらに1176系のコンプも収録しています。
スタジオのエコーチェンバーも入っています。
つまり、これ1枚で「色付け」がかなり完結します。
ルームモデリングをオフにもできます。
EQ・コンプ・チェンバーだけのマルチエフェクトとして使う手もあります。
デメリット・注意点(買う前に必読)
良いことばかり書くと信用できないので、正直な弱点も書きます。
1. GarageBandでは動かない
これは重要です。
UAD Sound City Studiosは、GarageBandでは動作しません。
注意ポイント
対応はmacOS 11以上/Windows 10・11。形式はVST3・AU・AAXです。GarageBandユーザーは、まずLogic Proへの移行を検討してください。
僕はLogic Proなので問題なく使えています。
GarageBandから始めた人は要チェックです。
2. iLokアカウントが必須
認証にiLokアカウントが必要です。
iLok CloudかUSBドングルのどちらかで認証します。
無料で作れますが、初めての人は少し戸惑うかもしれません。
3. CPU負荷がやや重い
このプラグインは、けっこうCPUを使います。
トラックに何枚も挿すより、バスにまとめて1枚で使うほうが現実的です。
4. UAD Native対応で、UAハードは不要
これは朗報です。
昔のUADプラグインと違い、UAのハードウェアなしで動きます(UAD Native)。
MacでもWindowsでも、ソフト単体で完結します。
こんな人には「いらない」かもしれない
正直に言うと、全員に必要なプラグインではありません。
- 宅録がギター1本の弾き語り中心の人
- すでに部屋鳴り系のプラグインで満足している人
- GarageBandから動かす予定がない人
こういう場合は、無理に買わなくていいと思います。
逆に「バンドサウンドを宅録で一体化させたい」人もいます。
そういう方にはかなり刺さるはずです。
価格とセール情報
定価は高めですが、セールでは大きく値下がりします。
筆者が確認したときも、定価の7割近く引かれていました。
UAのプラグインはセールの頻度が高めです。ブラックフライデー前後はとくに狙い目です。
定価で買うのはもったいないので、セールを待つのが正解だと思います。
最新のセール情報や価格は、購入前に必ず公式・販売ページで確認してください。
まとめ:宅録ギターの「浮き」に効く一枚
この記事のまとめ
- UAD Sound City Studiosは音に「部屋・空気」を足すリマイクプラグイン
- TONEXなどの後ろに挿すと、ギターの「浮き」が消える
- ギターだけでなくボーカル・ベース・ドラムにも有効。特にドラムの変化が大きい
- 打ち込みドラムを、デイヴ・グロール『Nevermind』的な部屋鳴りに近づけられる
- マイクを動かせるDynamic Room Modelingが肝
- GarageBand非対応・iLok必須・CPU負荷やや重めに注意
- セールで大幅に安くなるので、定価買いは避けたい
僕にとっては、「音は良いのに曲に馴染まない」という長年の悩みを解いてくれた一枚でした。
同じ「浮き」に悩んでいる人は、セールのタイミングで一度試してみる価値があると思います。

